御曹司と婚前同居、はじめます
「綺麗な人だった」

「そうか?」

「それにベリアの社長令嬢ってことは、彼女との繋がりは瀬織建設にとっても有益よね」

「何が言いたい?」


穏やかだった口調が急に厳しくなった。

さすがに好き勝手言い過ぎたようだ。

子供っぽい自分の行動が恥ずかしくなって俯く。

私は何がしたいんだろう。

僅かな沈黙の後、


「それはヤキモチだと思っていいのか?」


瑛真がどこか遠慮がちに聞いてきた。

否定出来なかった。

何も言わないでいると、隣から小さな溜め息が聞こえて心臓が縮こまる。

面倒くさいって思ったよね……。


「予定変更だ」

「え?」


瑛真は運転手に行先の変更を告げる。


「どこに行くの?」

「行けば分かる」


なんだかんだいって私は瑛真の強引なところに弱い。だから大人しく従うしかなかった。


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