御曹司と婚前同居、はじめます
「このドレスに合う靴とアクセサリーを用意してくれ」

「かしこまりました」


女性店員たちがいなくなってから、赤面している顔を隠すようにそっぽを向いて言った。


「全然意味が分からないんだけど。着飾ってどうするの?」

「明日、とある会社のレセプションパーティーがある」

「まさかそれに私もついていくの?」

「そうだ」


めちゃくちゃ嫌なんだけど……。


「まやかも出席する」


だから何だっていうの?

瑛真の口から彼女の名前を聞いて胸の中がもやもやする。


「ヤキモチを焼いたんだろう? 婚約者として俺と一緒にいれば、その気持ちも晴れるんじゃないか? 俺は美和のものだと見せつけてやればいい」


そんな意地汚い行為をするためだけに、こんなにも高価なドレスを買ってくれるっていうの?

嬉しいような惨めなような、複雑な気持ちになって首を横に振った。


「美和はもっと自信を持ったほうがいい。あと、もう少し欲深くても罰は当たらないよ」


何も言い返せぬまま、店員たちが揃って戻ってきた。

個人的な会話はこれで終わりとなり、私は再びマネキン人形のようになすがままになっていた。


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