御曹司と婚前同居、はじめます
第7話 * 心の距離
どういうわけか、会社に来なくてもいいと言われてから四日が経過しようとしている。
瑛真に変わった様子はなく、私への態度も今までと変わらない。
だからこそ余計に困惑してしまう。
あの、片時も離れたくないっていう態度はどこへ行ってしまったというのか。
理由を聞いても「必要がなくなった」としか言わないし、深く追求しようとすれば強引な抱擁で誤魔化されてしまう。
まだ身体の関係は持っていないからこそ、そうされる度に今日こそ一線を越えてしまうんじゃないかと正常心を保てなくなる。
あれ? もしかしてそれを見越してああいうことをしてくるの? やっぱり何か隠していることがあるのかな……。
せっかく柏原さんに色々と教えてもらっていたのに、それも出来なくなってしまった。
今の私に出来ることといえば、家事を完璧にこなし、瑛真の包帯を綺麗に巻くことだけ。
最近では包帯で固定する時間も短くなってきた。
週明けの月曜に石原さんが来るので、もしかしたらそこで今後固定は必要ないと判断されるかもしれない。
そうしたらリハビリに進むわけだけど、私に手伝えることはあるのかな。
交わした契約は二ヶ月間。あと約一ヶ月、このまま家政婦のように過ごすのはさすがに嫌だ。