御曹司と婚前同居、はじめます
第8話 * 隠された想い
おばあちゃんと話したことで気付いたことがある。それは、あの屋敷で一緒に暮らすことがおばあちゃんの幸せだと思っていたけれど、本当のところは自分があの家に戻りたいだけだったんだ。
おばあちゃんの言葉が脳内で繰り返し流れる度に、胸を踏み潰されたように苦しくなる。
久し振りに帰ってきたアパートの部屋は、少し離れていただけなのに自分の部屋じゃないような違和感があった。
瑛真の家が居心地よすぎるのよね。
窓を開けて換気をする。
本当は一人暮らしを始めた時から自分の気持ちに気付いていた。
一人での暮らしは寂しくて、誰かの温もりに触れていたいと思っていたんだ。
もうすぐ九月も終わる。日に日に冷たさを増した風が部屋に入ってきた。