御曹司と婚前同居、はじめます
「瑛真にまやかさんが好きだと直接言われたらどうするつもり？　その強気な態度で言いくるめて、自分の意思に従わせるの？」


彼の目に、私はそんなにも強情な女に写っているのか。


「好きな人の幸せが自分の幸せだとは思わない？」

「意外です。創一郎さんがそんな綺麗ごとを言うとは思ってもいませんでした」

「ははっ」


癇に障る笑い方だわ。


「そうですね。瑛真の幸せな姿を見たいです」


政略結婚なんてするものじゃない。瑛真には心から好きになった人と一緒になって欲しい。


「でも、まやかさんが瑛真を幸せにできるとは限りません」


はっきり言って私は彼女に良い印象は持っていない。それにまやかさんは瑛真の優しさを悪用しかねない。加えて腹黒いべリアの社長がもれなくついてくる。

会社に有益だと自ら言ったものの、本当にそれが瑛真の為になると思っていたわけではない。


「キミはまやかさんのことを何も知らないだろう」


低い、押しつけられたような声。

初めて創一郎さんの感情に触れた気がした。


「……知りませんけど、そう見えたんです」

「まやかさんは瑛真のことがずっと好きで、好かれるために沢山の努力をしてきた。何もしないで許婚という立場に甘えているキミよりよっぽどいいと思う」


これもまた意外だった。
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