御曹司と婚前同居、はじめます
こんな簡単に本音を吐き出すなんて。


「ということは、創一郎さんは私よりまやかさんの方が好きなんですね？」

「は？」

「今そう言ったじゃないですか」

「そんなことは一言も……」


明らかに動揺している姿に、もしかして、と思う。


「創一郎さんって、まやかさんのことが好きなんですか？」

「だから、さっきから何を言っているんだい？」


これ以上追求しなくても答えは出ているような気がした。


「とにかく、ちょっと付いてきて」


いきなり手から荷物を掻っ攫われて、車へと腕を引かれる。


「どこに行くんですか！？　これ、拉致ですよ！？」


大声を出して必死に抵抗をしたけれど、運悪く通行人は一人もやって来ない。

力で男性に敵うはずもなく、かなり強引に車の助手席へ押し込まれた。慌てて出ようとしても内側から出られないようにロックされている。


「瑛真とまやかさんのところ。自分の目で確かめてみればいいよ」


体温が一気に下がっていくのを感じた。

……本当に二人の元に連れて行かれるの？　それって会社？　それとも――。


「髪下ろすと雰囲気変わるね。いつもより柔らかい感じがする」


緊張感もなく呑気に会話を始める創一郎さん。

いくらなんでも自由過ぎるでしょ……。
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