御曹司と婚前同居、はじめます
第9話 * 甘く優しく



マンションへ戻って、ソファになだれ込むようにして横になった。

だらしないと分かっていても、空腹で体力も限界に達していたのでどうしようもない。

瑛真はそっと私の頭を持ち上げたかと思うと、自身の膝に乗せた。

心地良いといえる柔らかさではないことが余計に心臓を忙しなくさせる。

本当に、甘えさせるのが上手いんだよなぁ。


「まやかのこと、怒っているか?」


上から覗き込まれて逃げ場がなくなる。


「もちろん。でも、もう済んだことだし、瑛真が私を裏切っていたわけじゃないのならもういい」


傷付いたけれど、それはまやかさんも同じだ。ましてや彼女はこのあと望まないお見合いをさせられる。


「まやかさんのお見合い相手って良い人なの?」

「創一郎だ。そろそろ本人にも話が回るだろう」

「え? 創一郎さん?」

「俺が社長に昇進したら副社長の座には創一郎がつくことになる。あいつは仕事もできるし、まやかの相手として申し分ない」


開いた口が塞がらないとはこういうことだ。
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