御曹司と婚前同居、はじめます
「包帯も取れたし、今夜美和の全部を貰ってもいいか?」


真っ白になった頭とは反対に、心臓は壊れそうなほどに鳴っている。

初めて両腕に力を込めて抱き締められた。


「いいよな?」


耳元で囁かれて、ぞくりとする。

無言は肯定と取られたのか、瑛真は耳たぶを甘噛みして舌を這わせた。

小さな声が唇から洩れてしまう。


「待って、やめて。恥ずかしい」


か細い声で必死に訴えると、


「そうだな。夜の楽しみにとっておく」


野獣のような眼光が私を捕らえる。

たったこれだけの触れ合いで既に腰が砕けそうだ。

実際に耐えられなくなってその場にしゃがみ込んだ私を、瑛真はまた楽しそうに微笑んで見下ろしている。

結局それからまともに機能しなくなった私の身体に代わって、瑛真は素晴らしい手料理を振る舞ってくれた。


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