御曹司と婚前同居、はじめます
慌ただしく車に乗せられた私は、本家である祖父母の家に連れていかれた。

遊びに行くとは聞かされていなかったけれど、祖父母のことが大好きな私は単純に喜んでその日一日を過ごした。

けれど次の日になっても数日経っても両親は迎えに来ず、本家にも沢山のお手伝いさんがいたはずなのに、人の気配はほとんどなくなっていた。

とにかく不安で、三日目にもなるとおばあちゃんから片時も離れようとしなかったことは鮮明に覚えている。

結局お城に戻ることなく、通っていた私立から公立の小学校へ転校させられた。

あの頃が一番酷かったな……。

瑛真をはじめ仲が良かった子たちとは全く会えなくなり、新しい学校では今までと環境が違いすぎて馴染めず、新しい友達は一人も出来なかった。

それ以前に、言葉遣いが変だとかぶりっ子だとか、みんな私をいびって嫌った。

先生たちもどこかよそよそしくて、私の味方はおじいちゃんとおばあちゃんだけだった。

今にして思えば、あれが私の性格を大きく変えてしまうキッカケだった。

一人でも生きていけるように、強くならなければならないと毎日気を張っていた。

そうして、こんなに可愛げのない女が出来上がってしまったというわけだ。
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