御曹司と婚前同居、はじめます
「ここが寝室? 他にも部屋があるんでしょう?」


ワンフロア全てなのだから、部屋数もかなりあるはずだ。


「ここならリビングと行き来しやすいから動線が短くて済む」


もったいないなぁ。せっかく広い部屋があるのならそっちを使えばいいのに。

考え方が建設関係に携わる人間の発想だ。


「他の部屋は使っていないの?」

「ああ。今日から美和の部屋になる一部屋を除いてな」


瑛真のなかでどんどん話が進んでしまっている。

早く話をつけないと……。


「これはどうすればいいの?」


手にしているネクタイとジャケットに視線を落とす。


「また後で着るから、ひとまずそこに掛けておいてくれ」


指定された場所へハンガーに掛けておく。

また会社に戻るのかな。だとしたら手短に話を済ませなくちゃ。

リビングへ戻ったところで廊下から物音がした。それから間もなくして柏原さんがリビングに入ってきた。

合鍵、持ってるんだ……。
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