御曹司と婚前同居、はじめます
今日は本当に疲れた。

やけに瞼が重く感じる。


「眠たいか?」

「うん、ちょっと」

「明日はゆっくりするといい」

「瑛真は何時に起きるの?」


起きたら包帯を巻き直さないといけない。


「さあ、いつかな」


ゆったりとした雰囲気を纏った姿は、日中に感じた威圧感が全く感じられない。

目覚まし時計をセットせずに寝るってことかな? だとしても私は常識の範囲内の時間に起きよう。


「そういえば瑛真って朝は食べる派? 食べない派?」

「食べるけど、軽いものばかりだな」

「じゃあ、パンとかの方がいいのかな?」

「用意してくれるのか?」

「冷蔵庫のもの勝手に使っていいなら」


さっき冷蔵庫やパントリーの中を見せてもらったら、食材はふんだんに用意されていた。これも私が来ることを見越して用意したものなのかもしれない。


「ここは美和の家だ。好きにしていい」

「分かった。じゃあ適当に作るね」


そう言うと、瑛真は嬉しそうに目尻を下げた。

まだゆっくりとするという瑛真を残して、私は先に休ませてもらうことにした。

賃貸契約をしたまま離れてきた1LDKのアパートがすっぽりとおさまってしまう広さの寝室。

いつもと違う環境に寝られるか心配だったけれど、ベッドに横たわったらすぐにまどろみがやってきた。


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