御曹司と婚前同居、はじめます
 ◇



不意に目が覚めた。

長い時間深い眠りに落ちていた感覚があり、目覚めたばかりなのに頭が妙にスッキリしている。

高級寝具の力って凄い……。

ベッドサイドに置いておいた携帯電話を取ろうと腕を伸ばす。すると、何か硬いものに指先が触れた。

ん? 何?

のそのそと上半身を起こして携帯電話を取り、画面の微かな光を頼りにスタンドライトをつけた。

視界に入ったものに唖然とする。


「……何して……」


こんなにも広いのに、わざわざ私に寄り添うようにして寝ている。

おばあちゃんと添い寝をする夢を見たのはこのせいか……。

一体いつ潜り込んできたの?

まったく気づかなかった。というか、寝入ってから一度も目を覚ましていない。

時刻は六時を過ぎたばかりだった。

よく見ると、右側を下にして寝ている背中には、大きなクッションが添えられている。

左側を下にしないようにしているんだ。

寝返りの妨げになるだろうし、こんな状態できちんと睡眠が取れるのかな?

心配になったけれど、瑛真は小さな寝息を立てたままびくともしない。
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