御曹司と婚前同居、はじめます
第4話 * 幸せな嘘



土曜日は近くにあるスーパーやコンビニ、商業施設などを案内してもらいながら街中をぶらりとし、夜はイタリアンに連れていってもらった。

日曜日は瑛真に急遽仕事が入ってしまって、一人家に残された私は家事以外に特にやることもなかったのでのんびりと過ごさせてもらった。

だから実質として私の仕事は今日からのスタートだ。

仕事内容も社風も分からないので、服装は瑛真に見立ててもらい、柏原さんの運転するBMWに乗って瑛真と揃って瀬織建設に出社した。

エントランスを抜けて一直線にエレベーターに乗り込み、あっという間に副社長室へと到着する。


「コーヒーを入れてきます」


柏原さんはすぐに給湯室へと向かう。


「社員の方たちに挨拶はしなくてもいいの?」

「その必要はない」


デスクに置かれていた書類に目を通しながらぞんざいに言われて、つい顔が険しくなってしまう。

なんだか瀬織建設の人間として雇ったわけではないと一線を引かれたように感じてしまう。まあ、実際にそうなんだろうけど。

柏原さんはコーヒーを運んだあとすぐに秘書室にはけてしまった。

ここでも二人きりになるのか……。
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