御曹司と婚前同居、はじめます
「どうぞ」
促した声に「えっ」と凍り付く。
入ってきたのは、瑛真に引けを取らない容姿を持ち合わせた男性だった。
「おっと」
私たちの姿を目に留めた瞬間、彼は扉の前で一歩引く。
顔を凍りつかせたまま膝から離れた私に、余計に困惑の色を見せた男性は、「邪魔した?」と、瑛真に目配せをする。
「問題ない」と答えた瑛真に「相変わらずだなぁ」と苦笑した。
相変わらずって何? こういう非常識なことを日常的にしているってこと?
「瀬織創一郎(そういちろう)です」
スマートな所作で差し出された名刺には専務と書かれていた。
「堂園美和です。すみません、私名刺を持っていなくて」
「構わないよ」
「あの、瀬織ということは……」
「瑛真の従兄弟だよ。瑛真の父親と俺の父親が兄弟なんだ」
おじさまの弟さんか。
瑛真の父親とうちのお父さんは同級生ということもあって仲が良いけれど、弟さんの話題はほとんど聞いたことがない。
顔の骨格や筋が通って高い鼻のあたりなど、どことなく瑛真と似ている。
でも彼の方が甘ったるい雰囲気があった。
促した声に「えっ」と凍り付く。
入ってきたのは、瑛真に引けを取らない容姿を持ち合わせた男性だった。
「おっと」
私たちの姿を目に留めた瞬間、彼は扉の前で一歩引く。
顔を凍りつかせたまま膝から離れた私に、余計に困惑の色を見せた男性は、「邪魔した?」と、瑛真に目配せをする。
「問題ない」と答えた瑛真に「相変わらずだなぁ」と苦笑した。
相変わらずって何? こういう非常識なことを日常的にしているってこと?
「瀬織創一郎(そういちろう)です」
スマートな所作で差し出された名刺には専務と書かれていた。
「堂園美和です。すみません、私名刺を持っていなくて」
「構わないよ」
「あの、瀬織ということは……」
「瑛真の従兄弟だよ。瑛真の父親と俺の父親が兄弟なんだ」
おじさまの弟さんか。
瑛真の父親とうちのお父さんは同級生ということもあって仲が良いけれど、弟さんの話題はほとんど聞いたことがない。
顔の骨格や筋が通って高い鼻のあたりなど、どことなく瑛真と似ている。
でも彼の方が甘ったるい雰囲気があった。