御曹司と婚前同居、はじめます
「あのマンションは、身体が不自由な方が住みやすいようにバリアフリーになっているそうですよ」
「それはいいわね。この辺りは年寄りが多く住んでいますから」
「大きな総合病院も近くにありますもんね」
「あそこはいいですよ。病院なんて行かないに越したことはないですけどね」
ふふっ、とおばあさんは笑う。
「でもねぇ、私のような年金暮らしのばあさんが住めるようなところじゃないのよ」
おばあさんは遠い目をしてマンションをもう一度見る。
私は曖昧に微笑んだ。
おばあさんが暮らしているという築年数がだいぶ経っている団地に着き、何度もお礼を言われてから別れた。
携帯電話に連絡はきていない。
それでも勝手な行動を咎められるのが怖くて車まで全力疾走した。
――良かった、まだ戻ってきてない。
車の横に立って乱れた呼吸を整えているとすぐに二人が戻ってきた。
「どうかしたのか?」
柏原さんよりも先に小走りできた瑛真に、「何でもない」と首を振る。
「本当に?」
顔を覗きこまれて苦笑いがこぼれる。
過保護だなぁ。
「それはいいわね。この辺りは年寄りが多く住んでいますから」
「大きな総合病院も近くにありますもんね」
「あそこはいいですよ。病院なんて行かないに越したことはないですけどね」
ふふっ、とおばあさんは笑う。
「でもねぇ、私のような年金暮らしのばあさんが住めるようなところじゃないのよ」
おばあさんは遠い目をしてマンションをもう一度見る。
私は曖昧に微笑んだ。
おばあさんが暮らしているという築年数がだいぶ経っている団地に着き、何度もお礼を言われてから別れた。
携帯電話に連絡はきていない。
それでも勝手な行動を咎められるのが怖くて車まで全力疾走した。
――良かった、まだ戻ってきてない。
車の横に立って乱れた呼吸を整えているとすぐに二人が戻ってきた。
「どうかしたのか?」
柏原さんよりも先に小走りできた瑛真に、「何でもない」と首を振る。
「本当に?」
顔を覗きこまれて苦笑いがこぼれる。
過保護だなぁ。