御曹司と婚前同居、はじめます
「おじいさんの時以来なので、三年前ですかね」

「そうかそうか、そうだったねぇ」

「え!? お葬式に瑛真って来てたの!?」


瑛真は「あ」と洩らした。

この様子だとわざと私に知られないようにしていたに違いない。

どうして誰も――瑛真自身も教えてくれなかったの?


「せんべい食べるかい?」

「あっ、うん……」


どういうつもりなのか、おばあちゃんが妙な気を回してくる。

おばあちゃんも何かしら事情を知っているのかな……。


「こうして二人が一緒にいるところをまた見られるなんて、嬉しいねぇ」


本当に嬉しそうな顔をしている。


「優作(ゆうさく)さんも喜んでいるよ」


おばあちゃんはおじいちゃんのことを名前で呼ぶ。私はそれが好きで、自分も歳を取っても相手のことは名前で呼びたいと憧れを持つようになった。


「もちろん式は挙げるんでしょう? おばあちゃんは行けないかもしれないねぇ」


式? 挙げる?

どうやらとんでもない勘違いをされているみたいだ。
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