視線の先には君がいた
4会話
間島を好きだ、

と気づいても、私には隣の席という以外に間島との接点はなかった。

ろくに話したこともない、ひとめぼれのようなものだ。


だからこうやって言葉を交わすこと自体、ありえないこと、そう思っていた。


「帰るよ。忘れ物取りに来たの」


心の中で深呼吸をし、平静をよそおう。


「ふうん。」


間島が含みのある反応をする。


「見てたでしょ、さっき」


「え?」


とっさのことで言葉が出ない。

そんな杏に構わず間島は続けた。


「告白されてるところ」


「……」


何て答えればいいかわからなかった。

何て答えれば正解だろう。

何て答えたら彼女になれるんだろう。
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