白貝と柏木
授業中の教室。

ずっと見ないようにしていた左斜め前の席に、久しぶりに視線を送る。

あの日から一度も振り返らない背中。

視線に気付いて、振り向いてほしい。
偶然でもいいから、こっちを向いて、私を見てほしい。

終わりにしたのは自分なのに、そんなことばかり考えて、授業の間ずっと柏木の背中を見つめていた。
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