昨日殺したはずの女の子が、今朝玄関先でニヤニヤ笑って立っている


のぞき穴をのぞくと、何も見えなかった。



ただ黒いだけ。



それ以外は何も見えなかった。



少し観察していると、


時おり肌色が一瞬うつって、また黒色に戻った。



どうやら少女もまた、のぞき穴でこちらをのぞいているようだった。


黒いのは彼女の瞳。


たまに見える肌色はまばたき。



眼球をのぞき穴に押しつけながら、こちらを見ようとしているのだ。


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