私と彼と兄と
「颯馬が伸びたんでしょ!」



頭2個分くらい上を見上げ、私は言う。

兄は、そーかー?とか言っている割に、何だか嬉しそうだった。





兄と帰るのも久しぶりだった。

ここ二日間、兄との距離が時間を超えて一気に近付いた気がする。


それもこれも全部ーーー



失恋の…おかげ…



なんて事を考えていると、いつの間にか家の前まで来ていた。


外からでも分かる、夕飯の匂い。

暖かい。



相川くんのあの事によって、すっかり冷えきっていた心を包み込んでくれるような。



「ふふっ」



私は思わず笑ってしまった。



「何だよ、急に気持ち悪ぃ」



兄はまるで変なものを見るような目で私を見る。





『家族の優しさ』を感じられたのも全部ーーー





「失恋って凄いね」


「……っ」





相川くんのおかげなんだ。



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