私と彼と兄と
すると、眠そうに目をゴシゴシと擦りながら大きな身体が起き上がる。


どうやら兄妹揃って車の中で爆睡してしまっていたようだ。


兄は腕時計を見てかなり驚いたようで、



「え、やば。…店入るぞ」



私の腕をグイッといきなり掴んできた。



「え、えっ…」



引き擦られるようにして私は兄に次いで車から降りる。



見るとーーー



「うわぁ…!」



時計屋さんだった。

しかもかなり高級なーーー





こんな所に来るために、わざわざ私と?





店を眺めている私をよそに、兄はスタスタと歩いていってしまう。



「ちょ、ちょっと待ってよ!」



私も急いで兄のあとを追った。



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