私と彼と兄と
「ちょ、ちょっと…どいてよ」
こんな至近距離、相川くんとすら経験したことないのに…!
私は軽く兄を睨んでみた。
が。
「……っ」
兄の顔は赤かった。
目もとろん、としていて…。
「…私の熱移った?」
ピト、と私の手を兄の額に当ててみた。
兄は驚いたような顔をしている。
「…お前、こんな状況でよくそんな事言える余裕あるな」
どうやら呆れられているようだ。
意味がわからない。
兄は、ふぅ、と短くため息を付いたかと思いきや、
「…んっ」
勢いよく私の頬を摘んできた。