私と彼と兄と
彼はそう言うと、
「…行こうぜ」
パッと顔を上げて、お祭りの会場の方へと歩き出した。
「…うん!」
少しドキドキする胸をそっと押さえて、私は相川くんの後についていった。
ーーーお祭りの会場
まだ早い時間だというのに、会場は人で賑わっていた。
ズラーッと並んだ屋台。
浴衣姿の男女。
うるさいくらいの蝉の声。
相川くんと一緒にいるだけで、全てのものがまるで輝いているように思えた。
…あぁ、私、まだ相川くんの事好きなんだ
胸がキュウッと締め付けられるような感覚に陥る。
そんな私に相川くんは気がついたようで、
「…?どっか調子悪いのか?」
少し心配そうな顔をして聞いてくる。
私はすぐに首を横に振って、
「…なんもないよ、大丈夫っ」