私と彼と兄と
火照る身体を一刻も早く冷ましたくて、私はふぅ、と大きく息を吐いた。
「…まだ花火上がるまでだいぶ時間あるし、屋台まわろーぜ?」
私がこんなに焦ったりドキドキしたりしていたのに、相川くんは全くそんな事気付いていなかったかのように、爽やかな笑顔を向けながら言ってきた。
私はコクリと頷いて、静かに彼の後ろを歩く。
相川くんがまず最初に目をつけたのは、りんご飴の屋台だった。
「2個ください」
有無を言わせぬ早さで購入して、
「はい、華の!」
パッと私に一つ差し出してきた。
「ありがとう…」
久しぶりのりんご飴。
普段お祭りに行っても、好んでりんご飴を買ったことはなかった。