さまよう爪
食後のラッシーは、見た目が牛乳みたいな、ヨーグルトみたいな、白色の飲み物。味は、 甘くて、ほんのりと酸味がある。
後味がサッパリしていて毎朝飲みたい味。
カレーを食べた後もありめちゃくちゃ美味しく感じた。
会計の時、「コレ、ツギツカッテクダサイ」と割引券を貰う。
50%割引券。割引しすぎ。
帰り際、瀬古さんのシャツの胸元に汚れを見つけた。
「シャツに何かついてますよ」
「うん?」
瀬古さんは自分の胸を見下ろす。
ああほんとだ。と言いながら、彼が親指でその部分拭おうとしていた。
「あ! 待ってください。シミになりますから」
急いでバッグをまさぐる。中にあるはずのポケットティッシュかハンカチをごそごそ探していると瀬古さんが言った。
「いいよ。もう染み込んじゃったし」
わたしはそう言われてからハンカチを見つけ、小指の先くらいだが茶色に染まった部分をハンカチでポンポン叩くように拭く。
けれど落ちるわけはなくシミはそこにある。
「……無理そうですね」
瀬古さんは苦笑いしながら答えた。
「まあ自分がぼけぇっとしてたからしょうがないよ」
「裏地にハンカチあてて濡らしたティッシュで叩くといいんですけど」
「そうなんだ」
「ちゃんとやります? うちに帰ったら」
「……んーーん。うん。やるよ。ちゃんと」
微妙な間。
絶対やらないだろう、これ。
このシャツを彼は帰ったらきっと、丸めてごみ箱にポイだ。
後味がサッパリしていて毎朝飲みたい味。
カレーを食べた後もありめちゃくちゃ美味しく感じた。
会計の時、「コレ、ツギツカッテクダサイ」と割引券を貰う。
50%割引券。割引しすぎ。
帰り際、瀬古さんのシャツの胸元に汚れを見つけた。
「シャツに何かついてますよ」
「うん?」
瀬古さんは自分の胸を見下ろす。
ああほんとだ。と言いながら、彼が親指でその部分拭おうとしていた。
「あ! 待ってください。シミになりますから」
急いでバッグをまさぐる。中にあるはずのポケットティッシュかハンカチをごそごそ探していると瀬古さんが言った。
「いいよ。もう染み込んじゃったし」
わたしはそう言われてからハンカチを見つけ、小指の先くらいだが茶色に染まった部分をハンカチでポンポン叩くように拭く。
けれど落ちるわけはなくシミはそこにある。
「……無理そうですね」
瀬古さんは苦笑いしながら答えた。
「まあ自分がぼけぇっとしてたからしょうがないよ」
「裏地にハンカチあてて濡らしたティッシュで叩くといいんですけど」
「そうなんだ」
「ちゃんとやります? うちに帰ったら」
「……んーーん。うん。やるよ。ちゃんと」
微妙な間。
絶対やらないだろう、これ。
このシャツを彼は帰ったらきっと、丸めてごみ箱にポイだ。