さまよう爪
後日。割引券は愛流とのランチで使った。

愛流もカレーの味とボリュームを絶賛する。

話はわたしの恋愛になって。瀬古さんと一緒に来た店だと知った愛流は目を爛々と輝かせ、鼻息を荒くし、食いついてきたが彼とは何もなかったと言うと、

「……ほんとぉに？」

「本当に」

「なあんだぁ」

がっくし肩を落とし、ショボくれた。

LINEのIDは交換したよ。と言うと少し浮上した彼女は自分のカレーに入っていたウズラの卵をスプーンですくい、「小野田さんの恋が実るようにあげます。幸せのおすそ分けです」とウズラの卵はわたしの皿にぽとり。

フォークとスプーン。顔を覚えられたのか、サラダを食べる時何も言わずとも割り箸がついてくる。

「親切なお店ですねぇ」とサラダをパクつく愛流。

会社に戻ると、あんたたち2人カレーくさい！　集中できない。と同じ部署の人に怒られてしまう。

スパイスの覚醒効果で午後からの仕事が捗った気がした。





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