さまよう爪
海鮮の鍋もずいぶん立派だった。
ひも付きの帆立が大好きだから嬉しい。
海老も大ぶりで。
海鮮の旨味が出た美味い鍋。
もうちょっとつまみがほしくて、チキン南蛮があったので何気なくお願いしてみたところ、これが当たり。
あつあつの仕上がりにタルタルがたっぷり。
ランチタイムにもご飯と食べたい。
ふと、向かいを見ると愛流は写真撮りも飲み食いもしていない。
「どうしたの?」と尋ねる。
「……結婚したらこうして飲むことができなくなるんでしょうか」
ぽつり、呟く愛流は浮かない表情。
髪をいじり、毛先を、人差し指に巻きつけて。
「それは旦那様に相談してみればいいんじゃないかな。酔って変な行動をしたり、迷惑をかけなければ許されると思うし、だいたい結婚したら女性は遊びに出るべきではないなんて、女性は。ってところが時代にそぐわないよ」
直人はそういうタイプではないだろうし。
「そうですね!」
彼女は安心したようにししとう串をほおばる。
ししとう大好物なんですよ。と八重歯を見せる。
全部食べていいよ。と言うと本当に嬉しそう。
でも子供がいたら変わるかもしれない。
友人が出産して半年経ったくらい。
実母に、『母になったのだから、夜飲みに行くなんてダメ』と言われたらしく『夫だって飲みに行くじゃない。何で母親だからってだけでダメなのよ!』と反発。
そしたら、『父親はいいのよ。仕事の付き合いもあるでしょ?』と。
納得できずに愚痴をこぼしていた。
ひも付きの帆立が大好きだから嬉しい。
海老も大ぶりで。
海鮮の旨味が出た美味い鍋。
もうちょっとつまみがほしくて、チキン南蛮があったので何気なくお願いしてみたところ、これが当たり。
あつあつの仕上がりにタルタルがたっぷり。
ランチタイムにもご飯と食べたい。
ふと、向かいを見ると愛流は写真撮りも飲み食いもしていない。
「どうしたの?」と尋ねる。
「……結婚したらこうして飲むことができなくなるんでしょうか」
ぽつり、呟く愛流は浮かない表情。
髪をいじり、毛先を、人差し指に巻きつけて。
「それは旦那様に相談してみればいいんじゃないかな。酔って変な行動をしたり、迷惑をかけなければ許されると思うし、だいたい結婚したら女性は遊びに出るべきではないなんて、女性は。ってところが時代にそぐわないよ」
直人はそういうタイプではないだろうし。
「そうですね!」
彼女は安心したようにししとう串をほおばる。
ししとう大好物なんですよ。と八重歯を見せる。
全部食べていいよ。と言うと本当に嬉しそう。
でも子供がいたら変わるかもしれない。
友人が出産して半年経ったくらい。
実母に、『母になったのだから、夜飲みに行くなんてダメ』と言われたらしく『夫だって飲みに行くじゃない。何で母親だからってだけでダメなのよ!』と反発。
そしたら、『父親はいいのよ。仕事の付き合いもあるでしょ?』と。
納得できずに愚痴をこぼしていた。