さまよう爪
テレビチャンネルを切り替えるとドラマがやっている。

少し古い少女漫画が原作でわたしも学生の頃に読んだことがあった。

二十歳を過ぎた俳優が高校生役をやっているのは、少々違和感があるけれど、ドラマ自体が結構面白いからそこは別にいいかな。

グーグルで調べてみれば、ヒロインはキラキラの18歳。

当て馬役は自分と同い年だった。

18歳と25歳。客観的に見ればこうも違いが露になる。

わたしはアルビオンの美容液を足し塗り。

サイレンが聴こえる。とカーテンの締まったベランダを見る。

救急車だろうか。

結構音が近い。

いま着けている下着が使い古してボロくなったものを家用に回したものだったと思い出す。

もし自分が急病で救急車のお世話になることがあったら、そのときわたしは古びれた下着を着けていて化粧もしてない。

そんな姿を救急隊員の人に晒す。それはやだなあと思う。

それともそんなことがわからないくらい具合が悪かったら。

嫌だなあ。

ビールを1本空けたわたしは気がついたら布団に入って寝ていた。
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