さまよう爪
昔の夢を見ていた。
――お腹すいたな。
もう少し眠っていたかったけど、空腹に勝てずに頭から被っていたタオルケットを払いのけると、異変。
いつもの部屋と違う。
いや。
角度がおかしいだけだ。
そして角度がいつもと違うのはわたし自身だった。
背中に掛かったタオルケットごと体を起こすと
うつ伏せのままで寝てしまった理由を考えるより先にテーブルの上の合鍵が目に止まった。
その隣にちょこんとストラップが置いてある。
泣ぐ子はいねがー、で有名なお面のストラップだ。
もうちょっと女の子らしいのにしとくんだったかな。
取引先のキャンペーンで二つ貰った時に無理矢理、直人の財布につけたものだった。