さまよう爪
わたしはやっと顔を上げると、真紅に染まった爪を見る。
手も足も、自分のものとは思えず、大人っぽく見えた。
『……きれい、お姫様みたい』
思わず口をついて出た言葉に、男はくらくらするような笑みを浮かべて、
『お姫様じゃないよ。これは魔女の爪だ』
――魔女の色だからね。
男は綺麗に爪が塗られたわたしの手をとる。
『きみはかわいい。これから成長したら美人に綺麗になっていろんな男が寄ってくる。……心配だな、悪い虫がつかないように俺がそばに居て守ってやれればいいんだけど』
そのまま、そっと手の甲にくちづけられた。
『俺の愛しい魔女さん、大人になったら迎えにきますよ。
その日までいい子で待ってて』
手も足も、自分のものとは思えず、大人っぽく見えた。
『……きれい、お姫様みたい』
思わず口をついて出た言葉に、男はくらくらするような笑みを浮かべて、
『お姫様じゃないよ。これは魔女の爪だ』
――魔女の色だからね。
男は綺麗に爪が塗られたわたしの手をとる。
『きみはかわいい。これから成長したら美人に綺麗になっていろんな男が寄ってくる。……心配だな、悪い虫がつかないように俺がそばに居て守ってやれればいいんだけど』
そのまま、そっと手の甲にくちづけられた。
『俺の愛しい魔女さん、大人になったら迎えにきますよ。
その日までいい子で待ってて』