さまよう爪
我が儘な女たち
午前中の仕事が終わった。

「三澤さん結婚おめでとう。言うの遅れてごめんね」

本当は昨日言いたかったけれど、二日酔いでグロッキーでそれどころじゃなかった。

「わあっ! ありがとうございます! 小野田さんに言われるのが一番嬉しい!」

そう言い、三澤(旧姓は茂木)愛流はわたしに横から抱きつく。

服にファンデ付かないだろうか。

髪の毛いい匂い。女の子って感じの甘い香りだ。

彼女のつむじを眺める。

わたしと三澤愛流は頭1個分身長に差がある。

彼女は背が小さい。

10センチ、あるいはもっとあるピンヒールを器用に履いているが、素の彼女は150センチもないと思う。
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