さまよう爪
「あ、でも、田中さんはぁ小野田さんにぜーったい気がありますよ」

「田中さんって、映画と食べ歩きが趣味のあの田中さん？」

「そうです、その田中さんです」

そう言えば田中さんが言っていた映画が気になっていた。まだ公開してるのかな。田中さんのオススメって今んとこハズレがないんだよね、いつも変な柄のネクタイしてスベッてるけど。

そして現在直実にふくらんでいる、体が。

開発部の宿命だ。

「わたしのことより三澤さんは？　挙式の日取りはまだ？」

「招待状とか今いろいろ準備してますけどパパとママが手伝ってくれて、3ヶ月後の三連休にしようかなぁって。小野田さんにもお渡ししますから是非来てくださいね！」

「うん。行くね絶対」

バージンでバージンロードを歩くのが夢だったと彼女は言っていた。

じゃあ直人は3ヶ月間耐え忍ぶのか、彼女は胸は大きいし巨乳好きなのに大変だな…と食事中に思う下品なわたし。

「あの小野田さん！　小野田さんと一緒に服とかコスメとか見に行きたいです。あとスイーツもっ！」
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