さまよう爪
「ドウジョー!」

いきなり横から声がした。

まただ。

また、びっくりした。

例の店員が、フォークとスプーンを持って立っている。

もくもくと、紙ナプキンを並べ、フォークとスプーンを上に置く。

料理もくる。

オレンジ色のドレッシングがかかった大盛りの
サラダが1つ中央に置かれ、2人で取り分けるものらしい。

白い大きな丸皿に小さな銀のカップが5つもあるカレー。

ナン。

タンドリーチキン。

サモサ。

インドの漬けもの。

チャパティとライスまである。

カレーはバターチキン、ほうれん草、マトンキーマ、豆、シーフード。

ナンはチーズナンになっていて、普通のチーズなんだろうけど、何故かナンに入ってると甘くてとろっとした味になっていた。

いざインドカレーを食べてみると、日本のカレーとの違いに驚く。

そのサラサラ加減と風味の違い、むしろ別の食べ物と言っていいくらい違う。

日本の全体的にマイルドで、あらゆるスパイスが作用し合っているものと違い、スパイスが少ない分、味と香りの刺激がストレートに反映され、シンプルに野菜と肉の旨味が主張する

ココイチや無印良品のレトルトも好きだが、やはり本場は美味しい。

ボリュームがすごい。

フォークとスプーンでサラダが食べにくいと思っていたら瀬古さんが、すみませんお箸ありますか。と言う。

わたしたちに料理を運んでたら距離を保ちながらずっと突っ立ったままだった店員が厨房に消えたと思えば、コンビニでお弁当を買った時につけてもらうビニール袋に入った割り箸を2膳持ってきてくれた
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