「さよなら」のその先
最初、私はその言葉の意味を理解できなかった。



「ほら、付き合ってるんでしょ?久しぶりの再開なんだから抱きついておいで…よっ」



A組でいつも私と会話をしてくれていた子はそう言って、私の背中を押してきた。


と、身体が自然と前に傾き転びそうになる。



「…っ!」



体勢を崩し、もう転ぶしかないと思い目を瞑ったその時、身体が急に浮いた。

そして強い力で抱き寄せられる。



「ひぁっ……!?」



あまりにも一瞬の出来事。

目を開けると、例のマスクの彼が私をしっかりと抱き寄せていた。

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