「さよなら」のその先
誰もいない、昼下がりの屋上。


私はあの゛浅倉くん゛と一緒にいた。


彼は手すりに寄りかかり、どこか遠くを見ている。




…なんか声掛けた方が良いのかな?




私はどうしても沈黙の時間を減らしたかった。

思いきって口を開く。



「あっ、あのっ…」



私の言葉と共に、彼が振り返る。




…どうしよう、言葉が続かないよ




戸惑う私の様子を見据えてか、彼も口を開いた。



「……さっきは…ゴメン」


「…えっ?」



彼は再び目を反らし、恥ずかしそうに言葉を次いだ。



「…なんか、抱き締めちゃって…」


「………っ!!」



まさかそんなことを謝られるなんて…

私は一気に紅潮した。

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