「さよなら」のその先
彼が足を止めたのはやはり、駅の前だった。




…やっぱりこの人は、あの時の……




高鳴る胸。

身体が熱くなるのが判った。


私はホームに入って、改めて彼の姿を確認して驚愕した。



………彼じゃない




私が追っていた彼は、あの時の男子校生が着ていた制服じゃないのだ。




…あの服は、私と同じ鷹坂校の…




そこまで考えていたら、急に両肩に重みが掛かった。

振り返ると、



「八重!」


「京香遅すぎでしょ。私の勝ちだね♪」



八重が満面の笑みで立っていた。

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