「さよなら」のその先
八重は私の異変に気付いたのか、



「…何かあったの?」



眉を吊り下げて、聞いてくる。

私は首を振り、



「何でもない!ちょっとボーッとしてただけだから気にしないで!」



出来る限りの笑顔を返した。






結局この日、捜していた彼の姿を見る事なく、私より早く下車する八重を見送り、私は座席に腰を掛けた。

今日は何時もより空いていて、簡単に座席につけるくらいだったので、先程まで立っていた一目惚れの彼によく似た男子校生も座席の方へと向かってくる。

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