意地悪上司は私に夢中！？
どうすればいいんだ、この状況。

昨日と同じだぞ。

私は何かしゃべらなきゃいけないんだろうか。

勝手にドキドキしていたら、永瀬さんは熱がりもせずにコーヒーを一口すすって、はあっと息を吐いた。

「…昨日いきなりあんなことを言ったのは謝る。
だけど、頼むから普通にしてくれ。
やりづらくて仕方ない」

どういう意味なのかは私自身が一番よくわかっている。

実際、時田さんにも花にも戸田さんにも怪しまれている。

「…すみません。私単純だから、意識しちゃうとダメで…」

「まあ単純なのは知ってるけど」

少し沈黙があって、

「ここはいつもなら突っ込むところだろうが！」

と怒られた。

「あ、そっか…すみません」

「…ま、良くも悪くも意識してはくれてるんだな」

意識しないわけないじゃない。

するなって言うほうが無理だ。


「あの、いつから永瀬さんは私のこと…」

「わかんねえよそんなの。いつの間にかそうなってるもんだろ」

…おっしゃる通りです。


私が情報システム開発課に異動してきたのは一昨年の春。

思い返せば、最初は淡々と仕事を振られて、ただそれに答えるだけだったように思う。

いつからこんな言い合いみたいなことをするようになったんだっけ。



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