意地悪上司は私に夢中!?
翌日。この前電車と徒歩で行った『MIGA』へは今回はタクシー移動で、ものの15分で着いてしまった。

「なんで私のときはタクシーダメだったんですか」

「お前のためだ。いい運動になっただろ」

「運動関係ないでしょ!」


クライアントとの打ち合わせに慣れている永瀬さんに、全く緊張の色は見られない。

それに比べて私は…想定外のこの事態に緊張して吐きそうだ。

だって怒られるのかもしれないし。

エレベーターで5階まで上り、通された小さな会議室にはホワイトボード。

ステンレスの長テーブル。

並んだパイプ椅子。

簡素な造りの部屋に通された私は、永瀬さんの隣に座った。


コンコンコン

ノックの音が聞こえて、3人男性が入って来た。

「遅くなりました」

頭を下げる彼らに、私たちも立ち上がって頭を下げた。


「ではまずこの前のお話の続きになるんですが、モデルデータでの統計を…」

早速永瀬さんが身を乗り出して書類の説明をする中、身を乗り出してまで見てもわかるわけがない私はただ座っているだけ。

言っている言葉の意味もよくわからない。

ああ、私が作った資料はここでこんなふうに提案するのに使われているのか、なんて納得するシーンが少しあったくらいなものだ。

それにしても、部長さんはどこに…

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