意地悪上司は私に夢中!?
「おはようございまーす」
形式的なノックをし、返事を待たずにロッカールームの中へ入った。
「あ、おはよう歩美」
中にいたのは同じ課で働く同期の中島花(なかじま はな)。
ちょうど肩下まである髪の毛を結っているところだった。
「なんか歩美、目の下にクマできてない?疲れてる感じ」
花が眉を寄せて私の顔を覗き込む。
「あー…朝までマンガ読んでたから」
「どうしたの。平日なのに」
「フラれちゃって」
「は!?」
大声をあげたまま止まってしまった花に、私は苦笑いを返す。
「そっかあ…大変だったんだね」
一生懸命言葉を探してくれたんだろう。
花を暗い気持ちにさせてしまって逆に申し訳ない。
ロッカーの内側の鏡で、花に指摘されたクマをコンシーラーでごまかし、口紅を塗りなおした。
瞼は腫れていない。
実際、腫れるほど泣いてはいないのだ。
気を紛らわせようとビールを飲み、そのまま漫画に夢中になっていたから。
クラスの人気者に片思いしている地味な女の子が、見事両思いになる話。
フラれた身で何を読んでるんだろう、なんて少し虚しくなったけど、全20巻の漫画を読んでいるうちに夜が明けた。
私が失恋したくらいじゃ時間は止まらない。
容赦なく朝が来て、容赦なく仕事が待っている。
目を腫らしている場合じゃないのだ。
「…よしっ」
気合を入れてロッカールームを出て、そのまま10階へ向かった。
形式的なノックをし、返事を待たずにロッカールームの中へ入った。
「あ、おはよう歩美」
中にいたのは同じ課で働く同期の中島花(なかじま はな)。
ちょうど肩下まである髪の毛を結っているところだった。
「なんか歩美、目の下にクマできてない?疲れてる感じ」
花が眉を寄せて私の顔を覗き込む。
「あー…朝までマンガ読んでたから」
「どうしたの。平日なのに」
「フラれちゃって」
「は!?」
大声をあげたまま止まってしまった花に、私は苦笑いを返す。
「そっかあ…大変だったんだね」
一生懸命言葉を探してくれたんだろう。
花を暗い気持ちにさせてしまって逆に申し訳ない。
ロッカーの内側の鏡で、花に指摘されたクマをコンシーラーでごまかし、口紅を塗りなおした。
瞼は腫れていない。
実際、腫れるほど泣いてはいないのだ。
気を紛らわせようとビールを飲み、そのまま漫画に夢中になっていたから。
クラスの人気者に片思いしている地味な女の子が、見事両思いになる話。
フラれた身で何を読んでるんだろう、なんて少し虚しくなったけど、全20巻の漫画を読んでいるうちに夜が明けた。
私が失恋したくらいじゃ時間は止まらない。
容赦なく朝が来て、容赦なく仕事が待っている。
目を腫らしている場合じゃないのだ。
「…よしっ」
気合を入れてロッカールームを出て、そのまま10階へ向かった。