意地悪上司は私に夢中!?
「…とりあえず準備しろ」

「え?」

「今日はウチに来い。ウチは新しいから、そのGってやついないから」

Gのいない部屋…

確かに永瀬さんちは多分築2,3年。

あんなに片付いている部屋にヤツが出るわけがない。

遠慮なんてなしで二つ返事で準備を始めた。


タオルを頭にかぶったまま、永瀬さんの車に乗りこんだ。

そしてマンションに着くまでずっとブツブツ文句を言われ続けた。


「お前ドライヤーで乾かせ」

部屋に着くなりそう言われて、濡れた髪を乾かした。

リビングに戻ったらテーブルには温かいコーヒーが用意されていた。

ソファに座ってふうっとひとつため息を吐いた瞬間。

「ホントにもうお前はっバカか!」

耳がキーンとしてしまうほどの怒号。

「…だって仕方ないじゃないですか!
相手はGですよ!?」

「人に危害を加えるわけじゃないだろ!」

「加えてますよ!精神的被害!!」

思いっきり呆れたように口を半開きにする顔は、イケメンの面影もない。

< 64 / 123 >

この作品をシェア

pagetop