意地悪上司は私に夢中!?
すれ違い
それからしばらく永瀬チームのメンバーは忙しくて、帰宅が深夜になることもあるようだった。
いよいよ大詰めだというのに、今になって仕様の変更が生じたらしい。
こちら側のミスではなく『MIGA』側の都合らしいけど、永瀬さんに至っては終電を逃した上、朝早く来て仕事をしている日もあると時田さんが言っていた。
さすがに永瀬さんの意地悪も覇気がないから、私もついやさしい返しになってしまう。
「みんな虚ろな目になってるのに、永瀬さんは涼しい顔してるわよねえ。
一番忙しいはずなのに」
「そうですね…」
給湯室で会った戸田さんは、声を潜めてそう言った。
「鈴原さんも忙しいでしょ?」
「私は深夜まで残るほど残業頼まれませんから」
作り笑いをしたけど、永瀬さんが仕事量をかなり調節してくれているんだと思う。
戸田さんは、矢島チームが忙しい時は遅くまで残業していたはずだから。
だけど残業で夜遅くなってもいいから手伝いたいと言ったら、
「お前は一応女なんだし、物騒だから遅くならないうちに帰れ」
と永瀬さんに言われてしまった。
この前うちのアパートの近くでコンビニ強盗が出たから、心配してくれているのかもしれない。
犯人はとっくに捕まっているのに。
コーヒーを持ってデスクに戻り、ちらっと永瀬さんの姿を見る。
集中しているらしい永瀬さんは画面を見つめたままひたすらキーを叩き続けている。
…永瀬さん、大丈夫なのかな。
私も何か手伝えたらいいのに。
今はもう話しかけられる雰囲気すらない。
この前まですぐそばにいたのに、急に遠くなってしまったみたいで寂しい。
いよいよ大詰めだというのに、今になって仕様の変更が生じたらしい。
こちら側のミスではなく『MIGA』側の都合らしいけど、永瀬さんに至っては終電を逃した上、朝早く来て仕事をしている日もあると時田さんが言っていた。
さすがに永瀬さんの意地悪も覇気がないから、私もついやさしい返しになってしまう。
「みんな虚ろな目になってるのに、永瀬さんは涼しい顔してるわよねえ。
一番忙しいはずなのに」
「そうですね…」
給湯室で会った戸田さんは、声を潜めてそう言った。
「鈴原さんも忙しいでしょ?」
「私は深夜まで残るほど残業頼まれませんから」
作り笑いをしたけど、永瀬さんが仕事量をかなり調節してくれているんだと思う。
戸田さんは、矢島チームが忙しい時は遅くまで残業していたはずだから。
だけど残業で夜遅くなってもいいから手伝いたいと言ったら、
「お前は一応女なんだし、物騒だから遅くならないうちに帰れ」
と永瀬さんに言われてしまった。
この前うちのアパートの近くでコンビニ強盗が出たから、心配してくれているのかもしれない。
犯人はとっくに捕まっているのに。
コーヒーを持ってデスクに戻り、ちらっと永瀬さんの姿を見る。
集中しているらしい永瀬さんは画面を見つめたままひたすらキーを叩き続けている。
…永瀬さん、大丈夫なのかな。
私も何か手伝えたらいいのに。
今はもう話しかけられる雰囲気すらない。
この前まですぐそばにいたのに、急に遠くなってしまったみたいで寂しい。