独り占めしても、いいですか?
やっとのことでお店に着くと、私はその場にうずくまってしまった。



「ううっ…最悪…」



吐き気で辛いのに、それよりも周りの視線の方が辛い。



私が容姿だけでこんなに注目されるっていうなら、私はこの顔を、身体を憎む。



なんて言っちゃうとお母さんが悲しむから言わない。



私も、この辛さが自分の容姿のせいだなんて思いたくない。



「お客様、大丈夫ですか⁉︎」



近くにいた女性の店員さんが背中をさすりながら心配してくれる。



こういう時、仕事の立場にいる人だけは中立だから助かる。



私を変な目で見ることもない。



「うっ…

すみません、…ご迷惑をおかけして…」



私は結構限界だった。



意識を保つのも辛い。



意識を失うよりも先に、吐きそう。



それでも意識を保っていられるのは、多分ここに凛達がいないから。



私1人でなんとかしないといけないから。



まだここで倒れるわけにはいかない。



せめて部屋まで…


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