独り占めしても、いいですか?
じゃあ凛の手を…



そう思って思考を止めた。



ま、まって、別に今凛を選ぶ理由なんてないし…!



ここで選ぶなら凛じゃなくて透の方が妥当…だよね。



「じゃあ…こっちにしようかな」



そう言って透の差し出した手を取った。



その瞬間、小さくガッツポーズをする透。



「俺じゃねーのかよ!」



「だって凛は敵国だもん。

それに死んじゃうし」



「うっ…」



私は透の足の間に座り込んだ。



透は後ろから片手を回して抱きしめ、もう片方の手で、凛に見せつけるように頭を撫で始める。



私も体重を透に預けて、透用の紙を手にした。


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