独り占めしても、いいですか?
チラッとみんなの方を見ると、ファンの人数が更に増していた。



透が走って来た方でも、たくさんの女の子がこっちを見ている。



絶対ファンの子だ。



「透、行かなくていいの?

私、もう疲れたから帰るし、気にしなくていいよ?」



透のことだから、きっと、私がまた困らないように一緒にいてくれてるんだよね。



でも、そんなの、透を待ってる女の子達に申し訳ない。



私はいつでもみんなを独り占めできるけど、ファンの子は今しかないんだもん。



「なら一緒に帰る。

写真は別に頼まれてないし、めんどくさい」



透がわざと、女の子達に背中を向けるように立った。



アイドルとしてそれはどうなの…?



って思うけど、私を優先してくれてるのはちょっぴり嬉しい。

< 20 / 721 >

この作品をシェア

pagetop