独り占めしても、いいですか?
私がファンの子の方をちらっと見ると、透が手を握ってきた。



「気にしなくていい。

帰ろう」



「…うん」



あまりにも申し訳なくて、去り際にペコっと会釈だけした。



女の子達に悪いことしちゃったな…



とか



凛達に何も言ってないけど大丈夫かな…



とか、いろいろ考えながら歩く。



結構歩いて、校門まで来た時…



「おい透!

何1人で連れて帰ってんだよ!」



「ひよちゃんひどいよー!

僕達に何も言わないで帰っちゃうんだからー」



凛と優ちゃんが私と透を引き止めた。



後ろの方から



「2人とも待ってー!」



っていう声と一緒に秀ちゃんが走ってくる。



凛と優ちゃん、足速いから…



「はぁ…はぁ…

2人とも、本気で走らないでよ…」



やっと追いついた秀ちゃんが、何度か深呼吸をして、息を整える。



「秀ちゃん、大丈夫?」



私は秀ちゃんの左手を握った。



「うん、大丈夫だよ」



それと同時に私の手がギュッと優しく握り返される。



私達はそのまま手を繋いで歩き出した。


< 21 / 721 >

この作品をシェア

pagetop