独り占めしても、いいですか?
本当は止めたい。



けど、止めたところで引き下がるような人じゃない。



それはよく分かってる。



「ごめんね、気づいてあげられなくて…」



絢香の手をそっと握り、力なく呟いた。



「へへっ、気づかれないようにしてたの。

私は女優なんだから」



頭を撫でる絢香の手が熱い。



気づかれないようにしてた理由はただ1つ。



私も、ファンの一員だから。



でも…



でも、友達としての私は、気づいてあげたかった。



気づいてあげるべきだったのに…!


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