独り占めしても、いいですか?
「私、実は演技少しできるの。

昨日、ストーリーの流れも確認したし、アドリブだらけで台本とかないから、大丈夫だと思う…」



大丈夫、優ちゃんが昨日言ってた。



アドリブってことは、なんでもありなんだもん。



でもやっぱり…



ステージになんて立ちたくない。



怖いよ。



「そりゃ、やってくれたら嬉しいけど…

プロとして、友達として、日和に無理させるわけには…」



訴えかけるような目で私を見つめる。



やってほしいけど困らせたくない。



そんな気持ちが伝わってくる。



絢香はきっと、失敗した時の最悪の状況のことまで考えて言ってるんだ。



それでも、私は絢香の力になりたい。



頼ってほしい。


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