独り占めしても、いいですか?
「日和ー、まだかー」



私の祈りが届いたのか、角を曲がった廊下の方から凛の声が聞こえた。



直生君にもそれが聞こえたみたいで、



「チッ」



と舌打ちをして、なんでもなかった風に颯斗兄いのところへ戻る。



「日和ー…って、颯斗さんに直生さん⁉︎

………と、外人?」



この状況を見て頭にはてなマークを浮かべる凛。



「凛…!」



私は一刻も早くここから逃げたくて凛に向かって走り、抱きついた。



「は、日和?どうしたんだよ」



さっきの恐怖が一気になくなって、ホッとする。



と、同時に安心感から少しだけ涙が出てきた。


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