独り占めしても、いいですか?
「凛、行こっ」



凛の手を引いて3人の近くまで行くと、直生君の顔はいつものアイドル顔に戻っていた。



「日和、この方は?」



シェリーちゃんがチラッと凛に目をやりながら言う。



「あっ、そうだよね。

えっと、この人は一ノ瀬 凛。

私の幼なじみで、日本で大人気のアイドルグループ、Sanlightのメンバーなんだっ」



「よろしく」



凛がペコっと頭を下げた。



普段は目上の人じゃない限り、緊張なんてしない凛なんだけど…



オーラでシェリーちゃんの育ちの良さがわかっちゃうのかな…



凛が少し緊張しているように見える。



「そうでしたの!日和の幼なじみですのね!

初めまして、シェリー・クルシアと申しますわ。

どうぞお見知り置きを…」



シェリーちゃんがスカートの裾を少し持ち上げて上品にお辞儀した。



初めて見る本格的な振る舞いに、凛が唖然としてる。



「シェリーちゃんは、クルシア財閥の御令嬢なの。

それと、すな……な、なんでもないっ」



危ない。



直生君の婚約者だって言っちゃいそうだった。



心なしか、アイドルモードの直生君から鋭い視線が飛んでくる気がするし…



言った瞬間私殺されちゃう…


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